
春の食材をぜいたくに使った酒ずし
春らしい薩摩の郷土料理といえば「酒ずし」である。タイやエビ、イカ、タケノコやツワブキ、シイタケなど山海の春の食材をご飯に混ぜ、酢の代わりに地酒でしめて半日ほどねかせる。質実剛健なものが多い薩摩料理のなかで、珍しく豪華な料理である。ただし、アルコールが入っているので大人限定。
酒ずしは400年の歴史を持つといわれる。島津の殿様が家臣を集めて宴を開いた。残された山海のご馳走を酒と一緒に桶に放り込んでおいたところ、翌朝発酵していい香りがしていたのをヒントに作られるようになったとも言われる。かつては旧家を中心に祝い事の宴会などに供されていたが、最近は核家族化が進んだことなどもあって作る家庭が少なくなっているようだ。鹿児島の郷土料理店で食べられるところもある。
酒ずし作りのカギとなる「地酒」だが、普通の日本酒ではない。鹿児島の「地酒」は、独特の甘みとうま味を持った調理酒のことを指す。清酒と同じようにして造るが、もろみを圧搾する前に木灰汁を加える。高温多湿の鹿児島で酒の変質を防ぐためで、灰持(あくもち)酒ともいわれる。
◆酒ずしレシピ
本来は祝い事やもてなしの宴会用に大きな桶でつくられていたようだが今回は重箱を利用。「酢を一切使わない」のが本道らしいが、アレンジして食べやすいように酢と地酒を半々でご飯に混ぜる。好みに応じて、食べる前にさらに地酒をふりかけてもよい。
◆5~6人前
米 3合
水 3合
だし昆布 10cm角
<A>
酢 大さじ3
地酒 大さじ3
砂糖 大さじ2/3
塩 小さじ1
<B>
切り干し大根 15g
ゆでタケノコ 70g
干しシイタケ 3枚
ゆでツワブキ 70g
ニンジン 1本

タケノコ、ツワブキなどの具材をご飯で挟むように敷き詰める
<C>
だし汁 1.5カップ
砂糖 大さじ1・1/2
薄口しょうゆ 大さじ3
地酒 大さじ1・1/2
塩 小さじ1/4
タイ、キビナゴ、エビ、イカなどの刺し身適宜
甘酢適量
さつま揚げ
三つ葉、木の芽
錦糸卵

魚介の具をトッピングしたら地酒をたっぷり回しかける
1)米は30分前に洗ってだし昆布を加え、硬めに炊く
2)Aを作ってご飯と同じ温度くらいで混ぜる
3)Bは戻したりゆがいたりして適当に切り、Cで煮汁がなくなるまで煮る
4)エビは酒蒸しして皮をむき、甘酢につけておく
5)キビナゴは開き、タイを甘酢に浸す
6)重箱に地酒をふり(2)のご飯を半分敷き、(3)の具を入れ軽く押さえる
7)その上に残りのご飯を敷き詰め魚介、さつま揚げなどの具材と木の芽、湯をくぐらせた三つ葉を飾る
8)地酒1/2カップをふりラップをかけて軽く重石をして押さえ、半日以上ねかせる
9)器に盛り、食べる前に軽く混ぜ合わせる







