
麺’ズ冨士山の冨士山うどん
「甲府鳥もつ煮」-。今やB-1グランプリを獲得した山梨のB級グルメを知らない人はいないでしょう(いるかも知れないけど、まぁ勢いということで…)。だが、ちょっと待ってくださいよ!という声が聞こえるのは私だけでしょうか…?。
「国中=くになか」と呼ばれる甲府盆地周辺と「郡内=ぐんない」と総称される富士山周辺は、昔から生活習慣や風俗、言葉に至るまで、他県の人から見れば同じ山梨県とは思えないほど違いがあります。それは「食」に関しても例外ではなく、富士吉田市周辺の人たちに言わせれば「甲府には鳥もつ煮があるかもしれないが、吉田のうどんも忘れては困りますよ」ということになるでしょう。

トロっとした黄身が美味しい煮たまご
それを証明するように、富士吉田市内を車で走ると(もちろん歩いてでもいいですけど)「吉田のうどん」と大書された幟(のぼり)旗がやたら目につくのを、富士山周辺を訪れたことがある人ならご存じだと思います(勝手な判断ですが)。2002年に富士吉田市の観光協会が「地元の名物に統一感をもたせてPRしよう」と製作したもので、市内には、この旗を掲げる店は60店を超えていますが、人口5万人ほどの富士吉田にかつては100軒以上のうどん屋さんがあったというのだから、まさに地元の名物に違いないでしょう。
「100店」でなく「100軒」としたのは-今でこそ、駐車場を完備した比較的規模の大きな店舗も少なくないですが-少し前まで(今でも相当ありますが)吉田のうどんを商う家は、ほどんどが自宅を開放した「食(職)・住一体型」だったからです。しかも、1軒1軒で「コシの強さ」「スープの味」「うどんの具」その他すべて違う!それも極端に違うという(「それでどこに統一感があるんだ!」という声も聞こえてきそうですが)驚くべき名物なのです。
お客さんも当然、地元周辺の人たちばかりで、観光客に出すという発想もなかったのでしょう。だから駐車場もいらない。それぞれの店に熱烈なファンがいて、地元の人たちは「ファミレス感覚」でうどん屋さんに通うそうです。もちろん、サラリーマンの昼食もうどんが定番なのは言うまでもありません。

麺’ズ冨士山の刑部錠司社長
市内でも富士山に近いカラマツ林に店舗を構える「麺ズ’冨士山(ふじやま)」の刑部錠司社長は「それぞれが個性を前面に出して勝負できるのも、富士山の伏流水という大自然の恵みがあるからです」と感謝する。うどんを練るのにも、スープにも水が欠かせないのは言うまでもないが、富士山の雪が何十年もかけて地表に湧き出してくる、ミネラルを多量に含んだ冨士北麓の水は、まさに麺を作るためにある、と言えそうです。「お年寄りに言わせると富士山の水は味がないからいいんだそうです」と言う刑部さん。「富士山の水がおいしい麺とスープを生んでくれる。しかも豊富なミネラルは体にもいいと思いますよ」と日本一のお山のパワーを信じている様子。市内の勤め人で毎日、昼食にうどんを食べる人は多いが「飽きないんでしょうかねぇ」と刑部さんに聞くと「飽きないものを作っています」とキッパリ(恐れ入りました)。
さて、その「麺ズ’冨士山」自慢のうどんですが、店の名前は伊達じゃありません。「冨士山うどん」を大盛りでオーダーしちゃいましたが、出てきたのは「富士山」!百聞は一見に如かず-といいますが、これは是非、実際に見て、食べていただきたい。そして感想はツイッターで…(ブログでも結構ですが)。麺は自社工場の特製、味噌は特注、桜肉(馬肉)を使用している店が多い中で、肉は地元のブランド・フジザクラポークとくれば、これでおいしくないはずはありません。煮干しとサバ、鰹節をブレンドしたスープはコクがあって後を引くおいしさ。そして何より驚きは半熟卵!しょう油ベースにみりんと酒で煮詰めた卵はトロ~リと口の中で溶ける富士山のマグマか…・。富士山、富士五湖へおいでの節は、是非とも足を運んでみてください。後悔させません。
3年前から両国国技館の大相撲の場所中、吉田のうどんで作った「かりんとう」が枡席と売店のお土産に採用された麺ズ‘冨士山ですが、1月場所から「大相撲ちゃんこうどん」(生麺6食、スープ付き)の販売も始まると言います。「富士山パワーで大相撲に殴り込み」といったところですが、刑部さんの新たなチャレンジ、きっと成功すると思いますよ。
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