
創業当時の風情を漂わせる「松月」。1995年の再生工事の際も古い建材をそのまま残した
江戸~明治時代にかけて北前船でにぎわった富山市岩瀬地区。その伝統的な町並みを色濃く残す本通りから小路へ入ると、重厚なたたずまいを見せる建物が目に入ります。明治44年創業、今年で100周年を迎える老舗料亭「松月」です。
松月は、目の前の岩瀬漁港に水揚げされた旬の魚介類を、工夫を凝らした料理で提供しています。なかでも富山を代表する珍味、シロエビ料理は多くの食通をうならせています。シロエビは富山湾の宝石と呼ばれ、漁場としてなりたっているのは富山湾だけです。漁は4月1日に解禁され、11月まで続きます。

名物のシロエビ「福団子」。香りと食感が楽しめる人気の1品
シロエビの魅力は、身を口に含んだときに広がる豊かな甘味です。「新鮮なシロエビは甘みが違うし、ハリ(弾力)がある」と、松月3代目の黒田茂さん(78)は言います。シロエビのメニューは刺し身や空揚げ、吸い物、シロエビそうめん(夏季限定)、すしなどがあります。
刺し身は1人前に約70匹のシロエビを使っています。シロエビの強い甘味は生姜醤油をつけることで抑えています。空揚げはシロエビの素材の良さを生かしたシンプルな料理です。水分をできるだけ切って、薄くかたくり粉をまぶし、後はからりと揚げて塩を振るだけです。殻ごと食べられる香ばしさがたまらない1品です。
松月を訪れたら、ぜひ味わってもらいたいのがシロエビをぜいたくに使った名物「福団子」です。1匹1匹丁寧に手で殻をむき、1つの団子にシロエビ200匹使います。「あること」をした後、炭火で5~6分あぶってできあがり。何もつけないでこのまま食べます。香りと食感が楽しめ、お客さんは「今まで味わったことのない味」とびっくりします。人気商品として評判を得ているため、お店では1年中出せるよう努力しています。

シロエビの空揚げ(左)と刺し身
黒田さんは料理で腕を振るうだけでなく、お客様に料理で使った魚や調理方法を分かりやすく話すことで富山の海の幸の魅力を発信しています。「お客様に喜んでいただき『富山に来てよかった』と言われるよう、今後もおもてなしの心でお客様を迎えたい。そのためには、富山でしか食べられない料理を出し続けていきたい」と黒田さん。
シロエビの旬は5~7月ごろです。みなさんも富山にお越しの際は、富山湾の宝石を、老舗料亭でじっくりと味わってみませんか。
【お店データ】
定休日:不定休、部屋数:9室、駐車場:20台
予 算:食事のみ 昼5,000~15,000円、夜6,000~15,000円
※必ず電話連絡をしてからご来店をお願いします。
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