
どぜう鍋にはねぎをたっぷりのせて
寒かったり暖かかったり、気候が安定しない今年の冬。何だか体の調子がおかしい、スタミナのつくものを食べて元気になりたい!と出かけたのが東京・浅草の『駒形どぜう』。江戸時代から200余年続く老舗の名物であるどじょうの鍋、「どぜう鍋」を食べに行きました。
風格漂う木造家屋の入口にかかるのれんには、「どぜう」の3文字。なぜ「どじょう」でなくて「どぜう」か。江戸時代、『駒形どぜう』の初代店主の発案で、もとの正しい表記「どぢやう」の4文字では縁起が悪いと奇数文字の「どぜう」にしたのが始まりだといいます。

江戸時代から「木造」にこだわり続けた建物
のれんをくぐれば、正面には大きな神棚、床には籘筵(とうむしろ)が敷かれ、筵の上に直に置かれた食卓用の板には熱々のどぜう鍋。その前に正座して、着物姿で鍋をつつくお客さんの姿には、思わず「粋だねえ」と唸ってしまいました。
「煮えたらねぎをたっぷりかけて、七味と山椒をかけてどうぞ。こげないように割り下をまめに継ぎ足してくださいね」と食し方を教えてくれたのは調理部長の須藤さん。薄手の鍋はあっという間に煮立ち、すぐに食べ頃となりました。「ぼんやりしてる場合じゃねえ、さっさと食べちまわないと!」と気分はすっかり江戸っ子。額に汗してどじょうをつつき、割り下を入れ、ねぎを足し、またどじょうをつつく…。夢中で食べたどじょうのおいしさは格別! 口の中でふわりととろけるような食感、濃厚なうま味は、他のどの食べものとも比べられない奥深い味わいでした。
「うちでは、生きているどじょうにたっぷり酒をかけて酔っぱらったところを煮込みます。だから、臭みもなく、骨まで柔らかいんです」と須藤さんが調理法を教えてくれる間も休むことなくどじょうをつつく私。「こりゃ、せっかちな江戸っ子の食べものだな。早く食べないとうまみが逃げちまう!」とますます額に汗して食します。鍋とともにいただいた「どぜう汁」も甘味噌の汁にどじょうのだしが効いていて、これまた美味でした。
味もさることながら、江戸情緒を堪能できるお店の雰囲気にも大満足。さすが、200余年も伝統を守り続けてきたお店です。「食事の時間だけでも、お客さんに“江戸の世界”を堪能してもらえれば」と須藤さん。老舗なれど、一人でも気軽に食事を楽しめるのも魅力といえるでしょう。江戸庶民にも愛された『駒形どぜう』のどぜう鍋は、東京が誇る鍋のひとつ、ぜひ味わっていただきたい絶品鍋です!
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