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日夜「甲州ワイン」を広め続ける女性ワインメーカー

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中央葡萄酒ワインメーカーの三澤彩奈さん

「山梨百名山」に数えられる茅ヶ岳の南麓に広がる日照時間日本一の山梨県北杜市明野町。ミサワワイナリーの醸造所は、標高約700メートルの明野町北部の南向き斜面に位置する。

約束の時間に訪ねると、迎えてくれたのはうら若き乙女。この女性が、「フランス醸造栽培上級技術者」の資格を持ち、その世界では知られた女性ワイン醸造家・三澤彩奈さんだった。若い女性の取材は絶えて久しい筆者としては、力が入らざるを得ない展開となった。

中央葡萄酒の歴史を感じるワインコルク

三澤さんは国内のワインのメッカとして知られる山梨県甲州市勝沼町にある中央葡萄酒(株)の長女として生まれ、両親や祖父母の愛情を一身に受けて成長した。現在、米国に在住している弟さんは、ワインとは直接関係ない仕事に携わっており「グレースワイン」で知られる名門ワイナリーを、4年前から醸造責任者として女性の細腕で支えている。「小学生のころから、収穫や足踏み、当時は手張りだったラベル張りを手伝い始め、ごく自然にこの世界に入ったような気がします」。

23歳で渡仏。当初は「行くことに意味がある」と、明確な目的意識もなく渡ったヨーロッパだったが、本場での3年間の修行で技術と知識、さらに英語とフランス語をしっかり身に着けた。その後訪れたマレーシアで「グレース甲州」を飲んでいる外国人カップルに絶賛され「甲州種ワインは日本を代表するワインになるかもしれない」と山梨県産ワインの可能性に目覚めた。以来「甲州」漬けの生活が今も続く。三澤さんが「ワインの醸造の成否を決める」と言う9、10、11月の3カ月間は、朝7時から夜中の2時ごろまで作業に打ち込み、床にダンボールを敷いて寝袋で寐ることもあります」とややエキゾチックな笑顔でさらりと話す。

ワイン醸造に携わってからは、人並みの若い女性としての楽しみは封印。「休みもなく、ファッションも以前は普通に関心がありましたが、今は買い物にも行けません」。テイスティングに差し障りがあっては…と「コーヒーや辛いもの、チョコレートもあまり甘いのは食べません」と徹底している。-こう書いてくると仕事をバリバリ片付ける男勝りの勝ち気なたくましい女性を想像させるが、写真の通り、華奢で笑顔の愛らしい素敵な女性で「結婚願望も普通にあります」とはにかむ。

中央葡萄酒のキュヴェ三澤

三澤さんと話していると「家族」という言葉が頻繁に出てくる。当たり前かも知れないが家族に愛され、家族を愛する気持ちは人一倍強いことがうかがわれ「愛情豊かな家庭で育った育ちのいいお嬢さんなんだなぁ」と改めて感じた。この家族愛が、家業を支えるために女性の身でワイン醸造家の道を選んだ大きな原動力なのかもしれない。

醸造家というより敷地内にあるワインショップの店員さんの方が似合いそうだし、その方がショップの売り上げも伸びるのでは-と余計な心配もしたくなるが「甲州を日本を代表するワインに育てたい」という大きな夢はまだ途中。夢を断念させるような男性が現れるのはいつのことだろうか。
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