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先代の心意気、「来店客の満足が大切」を受け継いで

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女将の松田とめ子さん

長野県庁にほど近い長野市南県町のマンション1階。「女将(おかみ)の笑顔と弾む声を聞いただけでスカーンと気持ちが明るくなる。今日も飲めるぞー」。そんな気分にさせてくれることで評判のすし店。「鮨レストラン 大政」だ。お客の満足度を大切にして今年12月、開店満30年を迎える。

店を営むのは松田とめ子さんと長男の新太郎さん親子。開店は1982年12月1日。開店以来、すし職人の夫で、先代の数身さんが亡くなった後も長男と店を切り盛りしている。

今年開店30周年を迎える「鮨レストラン 大政」

新年会のお客が次々と訪れる店内。「いらっしゃいませー」。瞳がきれいな女将の明るい笑顔と元気な声が響く。宴会が始まると飲み物、料理をスムーズに運ぶ。頃合いを見て宴席に出るメーンの「すし」。どれも手際のよさに気持ちがいい。すべて女将の指示だ。年配の女性客は「この店は、従業員を大事にするので辞めないの」と話す。先代の優しさがしっかりと受け継がれている。

その先代の口癖は「これからのすし屋は、敷居の高い店はだめ。安価で気軽にすしを食べていただく」店づくりだった。いち早く「宴席での飲み放題」「すしランチ」「すしを付けた晩酌セット」を取り入れた。「いまでこそどの店でもしているが当時は目新しかったでしょうね。先見の目があった」と新太郎さん。

跡を継いだ息子の新太郎さん(右)とともに

大学卒業間近にして父親の突然の死。母親のとめ子さんの「やるか」の一言に帰郷。基本を母親から仕込まれる一方、独学で「すし」を学んだ。休日を利用し、県内外合わせて「200軒のすし店を訪ねた。シャリの具合など何でも盗み取る気持ちだった」と話す。安価に提供するため、産地直送も経営に取り入れた。「13回忌には先代の写真飾って」と常連客。板場で忙しく立ち振る舞う長男の傍らで「看板娘」がそっと目を潤ませた。
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