
自然の恵みに踊りを捧げ感謝するチェプ祭

アイヌ文化の継承に取り組んできたポロト湖畔
北海道の先住民として知られるアイヌの人たちは、自然との共生を大切にした世界観を民族の誇りにし、先人から受け継がれてきた伝統と文化をいまに伝えている。化石燃料によるエネルギーを元に、経済を中心に動いてきた結果が、地球規模の環境問題であったりする現代、「豊かさ」とは何かを考え直したとき、アイヌ文化に学ぶべきところは多い。
チェプとはアイヌ語で魚、主に鮭のことを指す。毎年同じ時期に、生まれた川を目指し還ってくる鮭は、貴重な食料であり、皮や骨は生活の道具となる。自らの暮らしを支えてくれる資源を無駄なく大切に使う心は、鮭を神と崇めた「チェプ祭」という神事で、神である鮭に感謝する習わしとして伝わる、アイヌの伝統文化である。

新鮮な鮭を販売するイベントも行われる
縄文時代の世界観を長い時間を経て、現代の価値観とする民族文化には、忘れてはならぬ人類が編み出した知恵が、凝縮されているような気がする。北海道の3大コタン(アイヌ語で集落の意味)といわれる白老町のポロト湖畔は、アイヌ文化の継承と普及に取り組んできた。その実績が認められ、国が進めるアイヌ民族「共生空間」に認定され、国が主体的に整備していくことが、今年6月に正式決定された。同コタンでもチェプ祭は毎年行われ、今年も9月19日に自然の恵みに感謝する。祭りでは踊りを捧げ、囲炉裏で焼かれた鮭の切り身が振る舞われ、神があたえてくれた幸を共有する。祭りが終われば秋色が深まり、短い北国の夏は終わりを告げる。
民族の「共生空間」に認定されたポロト湖畔、アイヌ文化の復興と国民理解の促進、未来への連携・協働が掲げられた政策は、先住民族に対する国連決議、国会決議を経て実現した。自然との共生を重んじる、すぐれたアイヌ文化とその歴史は、民族の誇りにより継承され、封印された時代を経て守られてきた。
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