東へクルマを走らせると、午後だというのにまだまだ眩しい。後輩ノジマが運転する自慢の黒いスポーツユーティリティビークルは土禁(どきん:土足禁止)だ。夏を惜しむ季節になると北海道東部は快晴が続くようになる。それまでは、重くまとわりつくような霧が頻発する地域だが、夏の後半から秋にかけては旅にはピッタリのエリアだ。
この季節は天気が良いだけでなく、この季節が旬の食べ物にもありつける。ハナサキガニ(花咲蟹)と呼ばれるその蟹は、蟹の楽園北海道の中でも、比較的この東部でしか流通していない希少な蟹だ。それ以上詳しい生態については知らないので、インターネットなどで調べてみてほしい。生態はよく知らないが、とにかくこの蟹は味が濃厚な上に、食べやすい構造になっていて、蟹の割には食べる作業的なストレスあまり感じない。個人的には一番好きな蟹だ。
今日、この黒いスポーツユーティリティビークルは、そんなハナサキガニのメッカである根室市を目指す。釧路を過ぎ厚岸(あっけし)に差し掛かると、右手にはオーシャンブルーが湾形の地形によく栄える絶景が広がりだす。厚岸は牡蠣が有名だが、今日は蟹が目当てなので我慢することにしよう。後輩ノジマは牡蠣が苦手なので、素っ気のない態度で厚岸を通過する。そこからさらに100キロ弱の道のりを走らせると根室市である。道中、ある有名な漫画家の出身地やフットパスと呼ばれる「歩くことを楽しむための道」で有名なエリアを通過し、目的地を目指す。
根室市は人口約3万人の都市だ。なかなか興味深い独自の食文化もある。「エスカロップ」という食べ物がある。その食べ物は根室が発祥とされる。北海道の人でも知らない人の方が多い食べ物だと思う。これも、気になる人は調べてみてほしい。説明しづらいが、「洋風な」「カツ丼」とでも言えば良いのだろうか。とにかく、この辺りでしか目にしない食べ物だ。
しかし、なんと言っても今日の目的はハナサキガニ。駅前や、納沙布(のさっぷ)岬など、訪れる先々でハナサキガニを堪能する。茹でたてはさらに旨い。ハナサキガニでお腹を満たした俺は、明日も仕事があるので今日は残念ながら日帰りだ。今度は西に向かって車は進む。ちょうどその頃には、今度は西日が眩しい。新鮮な緑色が夕日に染まり、とてもきれいな風景が続く。来年もこの季節にはハナサキガニを食べに来ようか。
せっかくなので根室に行ってこのハナサキガニを食べたい気持ちは山々だが、なかなか機会が…という方にはとっておきの情報をお伝えしよう。今の時代、ネットでもこのハナサキガニを購入できるのだ。食べたことはないけど気になる人、ハナサキガニの味を知っていて久しぶりに食べたくなった人、いろいろな人がいると思うが、本場根室からハナサキガニを直送してくれる店を教えるので、是非試してみてはいかがだろう。








