
元のレシピは同一でも、お店によってアレンジは多種多様。食べくらべも楽しみ方の一つです。
横須賀市の名物、海軍カレー。部隊ごとに兵隊さんが当番となり、銃をおたまにもちかえて自分の部隊の食事を作っていた陸軍と異なり、海軍には「烹炊員」という、料理を専門にする部署がありました。
100名から200名程度の中隊で起居その他を共にする陸軍と異なり、数百人から数千人がいっぺんに動く軍艦の単位で動くため、一箇所で作った方が効率がいいこと、数がモノをいう陸軍よりも人数の少ない海軍の方が一人当たりの食費がふんだんにあったこと、娯楽の少ない海上や潜水艦内で、娯楽としての側面が重視されたことなど、いろいろ要因はあるようですが、多くの書籍をあたってみても「海軍のメシはうまかった」という当時の方の感想が記されています。

海軍レシピを忠実に再現した元祖海軍カレーの店「魚藍亭」さんのカレー。下の写真は当時の海軍の「調理書」の数々です。
烹炊員長ともなれば、3年で入れ替わる兵隊さんと違って下士官という職業軍人ですから、この道ン十年のプロ。さながら食堂やホテルのコック長のように烹炊員たちを指揮し、各艦・陸上部隊において乗員の最大の楽しみである「メシ」を素晴らしいものにするため、日夜腕を振るっていました。
その海軍の代表的料理が「カレー」。イギリス海軍を範としていた関係で、ビーフシチューとパンがメインだった英海軍の食事を参考に考案され、当時栄養が偏りがちで、多くの脚気患者を出していた海軍の救世主となりました。また、毎週土曜日にカレーを出すことで、長い航海の中で曜日感覚を思い出させるために用いられた、お皿が一枚で済むので、午後からの上陸に(陸での休日)に行く前にお皿を洗いやすいように出されたと言われています。同様のものに、入港前夜に慰労の意味を込めて振舞われる「入港ぜんざい」があり、こちらは佐世保の町で名物になっているとか。(でも、実際にお皿を洗う新米の兵隊さんには、どちらもヌメリが強くて不評だったという話もあるようですが…)
海軍カレーの特長はハヤシライスと見紛うかのような漆黒のカレーが生み出す、コクのある味わい。一番近いのは、ちょい甘めのビーフカレーでしょうか。大きな鍋でぐつぐつと煮込んだとろみ、舌触りは絶品で、よく煮込んだビーフと辛すぎない味付けが絶妙。これがまた水じゃなくて牛乳とよく合うんです。カレー+サラダ+牛乳が海軍流。海軍のまち横須賀のお店でも、栄養バランスばっちりのこの3点セットで提供されます。
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