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6月夏イベント in 2011

秘境の地に伝わる観音祭

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洞窟内で行われる岩屋観音祭

北海道南部の渡島地方と、胆振を結ぶJR北海道・室蘭本線の難所として知られた静狩峠付近に、「小幌駅」という小さな無人駅がある。内浦湾に面したこの辺りの海岸線は、険しく切り立った断崖絶壁が続き、豊浦町にあるこの駅も、陸の孤島と呼ばれるような所にある。付近には建物どころか住人もなく、駅につながる道さえない。鉄道マニアの間では、鉄道でしか行けない日本一の秘境駅として知られる、特別な駅でもある。

小幌駅から、まるで獣道のような山道を30分ほど下った小幌海岸には、1666年、円空がこもり仏像5柱を彫ったと伝えられる洞窟があり、岩屋観音堂として、この時彫られた観音像が奉られている。この観音堂とつながりが深く、蝦夷三官寺として建立された伊達市の有珠善光寺が、「岩屋観音祭」を挙行、古くから綿々と続く祭りとして知られている。同祭の起源は定かではないが、仏像が彫られた直後からと推測され、毎年7月16・17の両日に開かれていた。現在は9月17日に行われているが、旧来の日程でお参りする信者も多い。

明治27年に修復された観音像

岩屋観音堂に奉られた観音様は、首が抜き取られたような状態で発見されており、「首なし観音」として、付近で漁をする漁業者らの信仰を集めてきた。この漁場の場所請負人であった事業家・泉藤兵衛が、「観音様の首が取れたままでは申し訳ない」と明治27年(1894)に修復し、現在に伝えられている。

岩屋観音祭には檀家など関係者や、遠くは本州からの参拝者もおり、多くの人たちが供養に訪れる。秘境の無人駅で知られる小幌駅も、この時ばかりは数十人の利用者でにぎやかになるという。「祭り」といえば、信仰心とは関係のないイベントと化した行事が多い中、先人の強い信仰に支えられ伝承されてきた祭りにこそ、今の社会が失いかけた大切な価値観があるような気がする。

参拝者が次々と降りる日本一の秘境駅小幌

小幌で彫られた5柱の仏像のうち、もう1体は有珠善光寺の宝物館に収蔵されている。「円空作聖観音像」がそれで、元々は洞爺湖中島に奉られていたが、保安上の問題から同寺に移管された。北海道有形文化財に指定されており、事前予約で拝観が可能、入館料は大人200円。予約・詳細は電話0142-38-2007の有珠善光寺へ。簡素化され、ゴツゴツとした野性味に溢れる円空仏は、観る者を平穏な心に導く優しさを秘め、拝観者を迎えてくれるだろう。