
谷をへだてて雄岩(右)と雌岩がそそり立つ黒髪山の夫婦岩
物憂げな花粉の季節が過ぎれば、いよいよ山歩きシーズン到来。新緑が目に鮮やかな5月は、神秘的な渓谷美と豊かな緑を同時に楽しめる黒髪山(標高516メートル、武雄市山内町・西松浦郡有田町)がオススメです。
黒髪山一帯は佐賀県内で最も古い県立自然公園(1937年指定)で、奇岩・巨石がそびえる独特の景観から、古くは山岳信仰の霊山、現在はハイキングコースとして県内外から多くの人が訪れます。手前みそで恐縮ですが、佐賀新聞が昭和5年(1930年)に実施した「日帰り遊覧地」の読者人気投票では武雄・嬉野の両温泉地を抑え1位に選ばれました。
ふもとの乳待坊(ちまちぼう)展望台から見る「夫婦岩(雄岩、雌岩)」は、天に突き上がるような絶壁の雄大さが魅力。山頂の「天童岩」に立つと、色濃く水をたたえたダムの湖面や山あいの町並みが見渡せます。このほかにも右手に剣、左手に縄を持ち憤怒の形相で町を見下ろす「太鼓岩不動尊」(高さ8.5メートル)や、日本の名水百選に選ばれた「竜門峡」など見どころ満載です。

「日本の名水百選」に選ばれた竜門峡の清水
また、約1600種類の植物が分布する植物の宝庫としても有名で、国の天然記念物に「カネコシダの自生地」が指定されているほか、クロカミランなどの固有種・希少植物が数多く自生しています(注:みだりに採取して持ち帰らないようにしましょう)。地元では「日本の植物学者は必ず登る」という“都市伝説”も存在するほど。春は桜、初夏は新緑、秋は紅葉など四季折々の豊かな表情も魅力的です。
ルートは武雄・有田のほか、伊万里市からも含めて計6つありますが、今回は武雄市山内町の「黒髪少年自然の家」近くにある乳待坊展望台の登山口から山頂までのルートをご紹介します。
登り始めは、やや急なこう配と岩道になるので、ゆっくり歩を進めましょう。登りきった所にある「見返峠」の十字路を左に進むと、なだらかな道が続き、木立の合間に見える夫婦岩の景観や岩場に点在する石仏を見ることができます。

1930年8月、佐賀新聞の「日帰り景勝地」読者人気投票で1位に
山頂の天童岩に向かうには、鎖場や鉄はしごを登ります。冒険心をかきたてるスポットですが、細心の注意が必要ですので、滑り止めの付いた手袋などを身につけるのがベター。山頂までの所要時間は約1時間。帰途は来た道を戻ります。難所を無事に過ぎると、あとは軽快な下りが続きます。登山時とは異なる表情を見せる絶景をのんびりとお楽しみください。







