
宮城蔵王の樹氷。日本海側からの冷たい水滴が、強風によってアオモリトドマツの葉にぶつかることでできる(写真:宮城県観光連盟)
蔵王連峰は、熊野岳(1841m)を主峰とした宮城・山形両県をまたぐ山々の総称だ。宮城県側を「宮城蔵王」、山形県側を「山形蔵王」という。宮城県民にとってはシンボル的な山であり、観光ドライブの南の要でもある。グリーンシーズンは「お釜」と呼ばれる火口湖や滝などの名勝、山岳風景、登山など見どころ遊びどころがいっぱい。紅葉の季節は観光の最盛期で、紅葉狩りの車で山頂へ続くエコーラインやハイラインは埋め尽くされる。
グリーンシーズンが終わると、いよいよ長い冬の到来だ。11月初旬から4月下旬まで、道路は冬季閉鎖。蔵王は雪に閉ざされる。そうなると観光シーズン終了?いやいや、冬は冬ならではの楽しみがあるのだ。
今回紹介する「みやぎ蔵王の樹氷めぐり」は、宮城蔵王のスキー場「すみかわスノーパーク」が毎年実施する樹氷観賞ツアー。暖房完備の雪上車に乗り、ゲレンデのある標高約1100mから1600m付近まで上り、そこに広がる樹氷原を目指す。宮城蔵王の樹氷は、日本海側から流れてきた冷たい水滴が、強風によってアオモリトドマツの葉に衝突することで生まれる。樹氷原はアオモリトドマツの林立するエリア。ツアーでは、そこで神秘的な自然の造形物に触れることができる。
荒ぶる大自然

暖房完備の雪上車に乗り、樹氷原へ
以前、体験取材をしたことがあった。
ゴゴゴーと豪快にエンジン音を鳴らして走り始める雪上車。急角度の山道を力強く上っていく。スキーウエアという完璧な防寒体制で挑んだが、車内は暖房が効いていてかなり快適、むしろスキーウエアでは暑いくらいだった。同乗した千葉県と台湾からの家族2組は、ダウンジャケットに帽子とマフラーという(雪山にしては)軽装だった。これで丁度いいくらい。足元は、出発前に受付で長靴を借りるといい。
車窓から見た積雪は人の背丈以上もあった。徐々に天候は悪化し、強風が吹き荒れる。常に吹きつけるのだろう、岩肌はむき出しになり、木々は折れ曲がっていた。ツアーガイドの解説を聞きながらも、目は窓の外。映像でしか知らない荒ぶる大自然にくぎづけになった。
目も鼻もない白い生き物

枝が積雪の重みで垂れてできるスギの天然かまくら
視界不良。それでも雪上車は樹氷原まで進んだ。標高1650mの地点で風雪はいくぶんやみ、降り立つことができた。気温はマイナス8度。空気が少し硬い。とうとう樹氷とのご対面だ。
樹氷は、雪原からモッコリと突き出る形で成長していた。目も鼻もない、白く大きな生き物が、ぬうと立ち上がるさまを見ているよう。遠くまで目をこらすと、あちらこちらにその姿が見えた。ちょっと不気味ともいえなくもない…、「スノーモンスター」とはよく言ったものだ。「エビのしっぽ」と言われる樹氷の雪片に触れると、ほろりと崩れた。「柔らかい。もっと固いと思っていたのに」と、千葉の家族は珍しそうにのぞき込んだ。
天候が良ければ、この樹氷原を抜け、360度の絶景を体験できるという。仙台平野や太平洋まで見渡せる日もあるそうだ。取材時は残念ながらそこまで進めず、樹氷原の一部を見て引き上げたのだった。
雪上車は少々の悪天候なら、コースを変更するなどして出発する。その時は「雪山の猛吹雪」というガチンコツアーになるだろう。大自然の美しさから脅威まで、ありのままを体感する気持ちで参加したい。
いずれにしても、雪上車内は寒さ知らず、疲れ知らずだから、老若男女にお薦めしたい。観賞に適した時季は、天候が安定する2月下旬から3月上旬。そのころには樹氷も大きく成長しているはずだ。
非日常の世界を堪能したら、帰りは遠刈田温泉で“ほっこり”しよう。
【雪上車で行く! みやぎ蔵王の樹氷めぐり】
運行期間/12月中旬〜3月下旬予定
※要予約 ※天候などによりコース変更や中止がある
運行時間/平日11:00〜13:00
土・日曜・祝日11:00〜13:00、13:00〜15:00
料金/大人4700円、小学生以下3800円、2歳以下無料
備考/防寒長靴レンタル200円
予約・問/0224-87-2610
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