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10月実りの秋(食/絶景/米/酒)

果樹王国・山形をワインで味わう~丹精こめたブドウの力を活かして醸造~

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新酒のボトルを手にする大沼専務と、妹で西川工場長補佐の大泉奈緒子さん 【月山山麓2010新酒(白・赤)720ml入り 1,173円(税込み)】白はもぎたて葡萄のフルーティーな香り、ジューシーで爽やか。赤はフランス・ボジョレー地区たフラワリーな香りと、軽やかな味わいの伝統的醸造法で仕上げ

ジュリア・ロバーツ主演の映画のパーティー場面で、それぞれの席に、白、赤両方のワインが入ったグラスが並ぶ。そのシーンが印象に残り、飲み会の幹事役の時に同様にしてみたことがあった。結構、好評だった記憶がある。

ワインについて、折り目正しく語る知識、資格などない身だが、ここでワインの話をしようとするのは、この夏の猛暑も何らかの「秋の恵み」をもたらしていると聞いたからだ。そう、高温と少雨はブドウの糖度を高め、味わいをより凝縮させる効果も期待できるという。ちょうど、高温、少雨の地中海沿岸の国々のワインのように。

丹精込めて育てられたブドウ。土地の力・風土・味わいが凝縮され、収穫をむかえる

そこで、山形県のほぼ真ん中、出羽三山の主峰・月山のふもと西川町にワイナリーとブドウ畑を持つ「千代寿虎屋」専務の大沼寿洋(としひろ)さん(38)に、今秋のワインの新酒や、ワインそのものの魅力について聞いてみた。

同社では8月に入り白に用いるデラウエアの収穫を始めた。搾汁(さくじゅう)し、タンクで2週間ほど発酵させる。ボトルに詰め、9月20日ごろから販売を開始した。赤用のマスカットベリーAは、10月から収穫し11月から赤の新酒を販売する。

こちらのワインの特長は、そのフルーティーさ。ナマのブドウの味わいに近い感じが楽しめる。心地よい甘さ、香りなので、白など冷やすと、さらにおいしさが引き立つ。湿度の低い、秋晴れの昼間、陽光の中で、というのもいい。「山形名物の、河原での芋煮会にもいいですよ。しょうゆ味に白ワインは、きっとはまりますよ。西川町は山菜もおいしいので有名。山菜のほのかな苦味と、白のさわやかな甘みもよく合います」と大沼さん。

素材が語る声なき声を聞き、持てる技術の全てを注ぎこむワインづくり

大沼さんたちの、ワインづくりの根底には、その土地、「場」の、その季節や年の持つ力を十分に活(い)かし、持てる技術のすべてを注ぎ込むという姿勢があるようだ。果物王国・山形の素材をワインという形で、その素晴らしさを世に問いたい、という気持ちがある。かつて、時の知事の要望を受けサクランボのワイン、「チェリーワイン」を開発したこともあった。

今年7月、山梨県で開催された「国産ワインコンクール」で大沼さんは、30人の審査員の1人として全国各地から出品された700のワインの審査に携わった。テイスティング、審査員たちの議論などを通じ、ワインの多様性、奥深さをあらためて感じた。そして、月山のふもとで、土地や風土、丹精こめたブドウの力を活かし、素材が語る声なき声に耳を傾けながらいいワインをつくる、という今までの姿勢をこれからも貫こう、と気持ちを新たにした。

「時々、お客さまから昨年のワインとは違う味わいだ、とご指摘をいただくことがあります。それは、移り変わる自然を相手にワインをつくるということの表れということでもあると思います」。大沼さんの話は、いい赤ワインのような、深さも含んでいるようだ。
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