
酒蔵を使って開かれるイベントは雰囲気たっぷり
白く輝く漆喰に風神の鏝絵(こてえ)が浮かび上がる。一歩入ると、高い天井と太くて見事な造形美の梁。ここでコンサート!? 音響効果抜群の酒蔵で音楽会とは、よくぞ考えついたものだと感心する。
豊かな筑紫平野と九州一の大河筑後川に育まれた佐賀県東部のみやき町にある天吹酒造。創業300年を超える酒造会社で、春と秋に蔵開きを開く。歴史的な建物や緑豊かな庭を会場に、10月8日(金)から10日(日)まで、音楽会や角打ちイベント、焼き物などの展示とさまざまなイベントを準備。十数年前から始まり来場者の7割が女性。「いろんな切り口で日本酒のよさを体感してもらいたい」という木下武文社長の思いが少しずつ浸透してきた。

土間にある大きな梁を使った試飲用テーブル。試飲にはおしゃれにワイングラスで
10年前に3年間をかけて昔の蔵元の雰囲気を再現しようと酒蔵を漆喰壁に改修。左官職人が鏝で仕上げていくレリーフの鏝絵は同社の由来である風神と天吹山をかたどった。土間に置いた試飲用テーブルは築100年近い酒蔵の梁2本で存在感がを。歴史と文化を大切にし、地域貢献と消費者に密着した酒造りを心掛ける社長のポリシーの表れだ。
試飲コーナーにはワイングラスを並べ、シャンパンのような発泡日本酒「すぱーくりんぐ」や「ブラッドオレンジの梅酒」「ミックスレモンの梅酒」のアポロンシリーズ、最近では花酵母の華やかな香りを生かした酒造りなど女性を意識した商品開発にも力を入れる。
「どんな雰囲気で、どんな方たちが、どんな風に楽しんでもらっているか体感していただきたい。酒との付き合い方を知っていただければ、人生がもっと豊かになるはずです」と木下社長。3日間で500人が訪れるイベントには、食や文化を楽しむ30代の女性の姿が目立つという。

漆喰の壁にしつらえた鏝絵の風神と天吹山が出迎えてくれる
イベントの目玉は9日の酒の会。午後3時から6時まで100人限定1000円の料金で約20種類の清酒、焼酎、リキュールを楽しめる。あぶり鯖寿司、鳥モモたれ焼などの出店もあり、各自持ち込んだ肴をつつくアットホームな中で、大牟田市のバイオリニスト・ドロシーみきこさんの演奏を堪能できる。母屋2階の天井桟敷では3日間限定で「プレミアム角打ち『蔵人屋』-クラビトヤ-」と銘打って蔵人らがオススメのお酒で接待する。鏝絵を制作した左官職人の高松忠義さんの鏝絵の実演も興味深い。
佐賀県酒造組合会長も務める木下社長の熱意は県境を越え、福岡市春吉に佐賀の地酒専門店「Sake Dining さが蔵」を6月にオープンさせた。10月1日は「日本酒の日」。とりわけ暑かった夏を乗り越えて円熟味を増した酒たちが待っている。実りの秋には「日本酒で乾杯!」。
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