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10月実りの秋(食/絶景/米/酒)

旨い日本酒を作る酒米・山田錦

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収穫期を迎え、頭を垂れる山田錦の稲穂

兵庫県産の日本酒の多くに使用されている酒米は、“酒米の王者”とうたわれる「山田錦」。その主産地に昔から伝わる格言はいいます、「酒米買うなら、土地を買え」―。つまり、山田錦という酒米にとって、産地がとても重要だということなのです。その格言が伝わる地はどこかというと、兵庫県南東部の三木市、加東市を中心とした周辺一帯の北播地域。この地域は「特A」という最高ランクを冠した一大産地で、ここで穫れる山田錦はとても高い評価を得ています。

山田錦酒米品評会のようす。収穫された山田錦がずらりと並ぶ

山田錦の栽培には山間部で昼夜の気温差が大きく、粘土質の土壌が適していると言われていますが、北播地域はこの条件を満たしたうってつけの場所。温暖で日照時間の長い瀬戸内海式気候も、晩生(おくて)の山田錦の生育に適しています。さらに、土壌は肥料の保持力が高く、ミネラル分も豊富。良質の山田錦を生産する環境が整っているというわけなのです。

しかし、絶好の環境をもってしても、山田錦という品種はなかなかのやっかいものなのだとか。一般の品種より収穫期が遅いので台風に遭遇する機会が多い、背丈が長いので風で倒れやすい、倒れて水に浸かると米の質が落ちる、いもち病にかかりやすい…など、かなりデリケートな品種なのです。農家の方は大変な苦労をしながら、愛情と誇りをもって育て上げているんですよ。

そうして収穫を迎える山田錦は、“磨ける米”として、灘五郷をはじめ、多くの酒造家に使われています。酒造りの際に精米することを「米を磨く」と言うそうですが、磨けば磨くほど、雑味の少ない洗練された味になります。山田錦の長所は、強く精米しても砕けにくい“磨ける”米であること。そして、精米から麹作り、発酵など酒造りのすべての行程において安定していること。それゆえ、山田錦は酒造家に愛され、おいしい日本酒ができあがるのです。

毎年3月に、三木市吉川町で開催される山田錦まつり。山田錦で醸した自慢の銘酒が揃う

味の面では、濃醇でふくよかな味わいに仕上がるのが特徴。キリッとした飲み口のなかにコクがしっかりと感じられる、広がりのある味わいです。兵庫県は良質の山田錦が穫れることに加えて、灘の宮水、丹波・但馬の杜氏の技術に恵まれた酒どころ。だから兵庫県産の日本酒はおいしいんです!秋は、秋刀魚に戻り鰹、銀杏など、日本酒に合う味覚がたくさん。夜長の晩酌には、ぜひ山田錦のお酒をどうぞ。

参考文献:「山田錦物語」 兵庫酒米研究グループ 編著 (神戸新聞総合出版センター、2010年発行)
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