
千日回峰行で比叡山中を巡拝する僧
天台宗の総本山・比叡山延暦寺に伝わる修行の一つ「千日回峰行」。この修行は伝教大師の菩薩僧養成の理念に基づいており、「荒行」の名で知られる。 東塔、西塔、横川(よかわ)の三塔をはじめ比叡山の堂塔と十六の谷をつなぐ行程を中心に、ふもとの京都市、大津市への下山も含めて7年間をかけて計1000日、歩き継ぐ。

桜が咲き誇る坂本の町を、回峰行者が歩む
回峰行を行う僧は白装束に身を包み、腰には剣を携え、左手に念珠を持ち、素足にわらじ履きで、無動寺谷を出発点とし出峰。最初の五年間は堂塔と山上、山下を巡る30キロの行程を1日(6時間)で歩く。700日目を終えたところで待っているのが、回峰行の本堂・無動寺明王堂に9日間こもる「堂入り」。行中の最大の難関といわれ、この間は断食・断水・不眠・不臥(が)で、ひたすら念仏を唱え続るとか。「医学的にも生死の分かれ目」といわれるほどの命懸けの修行で、これを満行した僧は「阿闍梨(あじゃり)」と称される。
その後、京都市左京区の赤山禅院から洛中洛外の神社仏閣を礼拝して歩く「大廻り」などを行い、満行。ここで「大阿闍梨」の尊称が付き、国家安泰を祈るため京都御所への土足参内が許される。

回峰に入って4年目、白足袋の着用が許される
この回峰行で僧が歩く距離はおよそ38,000キロ。地球一周に相当するのだ。まさに超人的…。行き倒れになったら、事後処理に充ててもらおうと、経袋に常に現金をしのばせて修行にむかった僧もいる。戦後達成したのは13人しかいないというから、その厳しさは想像に難くない。
そんな超人的荒行を気軽に「皆さんどうぞ~~」ってわけにもいかない。しかし、興味のある方は一日回峰行などを行っているところもあるそうなので、経験してみるのもいいかもしれない。千日回峰行とは比べるべくもないが、多少なりとも何か得ることができるのではないだろうか。
最後に、この「千日回峰行」を二度達成した天台宗大阿闍梨の酒井雄哉師曰く、
「修行と同じように、日々をしっかりと進めば、楽しく過ごせる」
…しかと心に刻んでおきたい言葉である。
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