
唐船峡から生まれた回転式そうめん流し
暑い夏、疲れた胃腸をいやすには冷たいそうめんが一番。なかでもそうめん流しは夏の風物詩だろう。
そうめん流しと聞いてみなさんが思い浮かべるのは、おそらく長い竹の樋(とい)をそうめんが滑り落ちてくる光景。私はその話を他県の人から聞いて驚いた。鹿児島のそうめんは、ドーナツ状の水路を流れ、ひたすら回り続ける。エンドレスそうめん流し。「回転式」というらしい。最近は小型の卓上用も販売されているようだから、全国区になりつつあるのかもしれない。

和気あいあい、家族で囲むそうめん流し。その形態は鍋に近いかもしれない
指宿市開聞町の唐船峡は、年間20万人が訪れる鹿児島のそうめん流しの“メッカ”。湧き水と緑に恵まれた深い渓谷は夏でも涼しく、マイナスイオンに満ちている気がする。1日10万トンも湧出する水の温度は13度。平成20年度には環境省の「平成の名水百選」に認定されている。
竹樋を使うそうめん流しは昭和34年、宮崎県の高千穂峡で発祥したらしい。唐船峡でも昭和37年に竹樋を使う方式で始めたが、当時揖宿郡開聞町の助役だった井上廣則さん(後に町長)が水圧を利用した回転式そうめん流し器を考案、同42年に特許権を同町に譲渡したという。
軒を連ねる3軒のうち市営そうめん流しを選んでみた。大きな木製ドームの屋根の下には、回転式そうめん流しの丸テーブルが並ぶ。そのひとつに陣取り、B定食(1人前1300円=そうめん、おにぎり、ニジマスの塩焼き、鯉こく)を注文する。

涼を求める人々でにぎわう唐船峡そうめん流し
中央に置かれたざるから2すくいばかり水路に落としてやると、そうめんはうねりながら反時計回りに泳ぎ始める。うまくほぐれた頃合いに箸を差し入れると、うまい具合に絡みつく。鹿児島特有の甘めのつゆにちょっとつけ勢いよくすすりこむと、口いっぱいに冷たい清涼感が広がる。「ちょっと味付けが濃いかな」と感じた塩焼き、鯉こくも、そうめんの供としてほどよい加減に思えた。
最後にみなさんにお聞きしたい。竹樋式でみんなが取り損ねたそうめんは、いったいどうなるの?
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