
鯉が窪湿原に咲くリュウキンカ(執筆者2010年5月撮影)
「鯉が窪湿原」は岡山県北西部の新見市哲西町矢田谷の標高550mに位置し、広さ約3.6ha(湿原面積は0.9haの湿原で、「西の尾瀬沼」とも呼ばれています。鯉ヶ窪池(農林水産省から「ため池百選」に選定される)の上流部には、ビッチュウフウロやオグラセンノウといった遺存植物(かつては広く分布していたが、現在はある特定の地域にしか分布していない生物種のこと)をはじめサギソウなど湿性植物が数多く自生し、「国の天然記念物」に指定されています。全長2.4kmの遊歩道が整備され、昨年も約9千人が訪れ、自然派アウトドア人にとっては、隠れた「地球と遊ぼうスポット」です。

オグラセンノウ(上)とビッチュウフウロ(下)<山陽新聞社提供写真>
私は5月の初めに訪れ、池の周りの遊歩道を約1時間かけて歩いてみました。静かな山合いに位置する湿原は、樹木の間でリュウキンカの緑葉と鮮やかな黄色の花がじゅうたんのように群生。鶯(うぐいす)の鳴き声が日常を忘れさせてくれます。ふと池の中央に視線をやった時、青い頭のカワセミが水面すれすれに颯爽(さっそう)と左から右へ一直線に縦断するのを目の当たりにしました。さらに歩いて行くと、池の中に向けて倒れた樹木(自然倒木)の上に体長30センチ近くある亀が3匹、日向ぼっこか…と見ていると、足音か話し声に反応して、3匹とも連なって池に“ドボン、ドボン、ドボン”と飛び込んで消えてしまいました。

サギソウ(上)とハッチョウトンボ(下)<山陽新聞社提供写真>
湿原の新緑を背景にして、他にも5月の花、キンポウゲ、ツツジ、山桜などを見ることが出来ました。岡山市内の街中の雑踏がうそのようなスポットで、自然を満喫しました。
6月からはヒツジグサ、ハンカイソウ、トキソウなども楽しめ、7月~9月にかけては北九州と朝鮮北部と鯉が窪湿原でしか見られないというオグラセンノウ、ビッチュウフウロや、水のきれいなところにしか生息しないというサギソウ、サワギキョウも咲きます。6~8月にはハッチョウトンボも見られ、「西の尾瀬沼」といわれる所以です。
ぜひ一度、足をお運び下さい。入場無料ですが、湿原保護協力費200円(任意)です。
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