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6月夏はやっぱり、祭りと花火

天地が燃える夏の奇祭

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松明が炎の輪を描いた「投げ松明」(2009年)

南部の火祭りは、山梨県の静岡県境近くに位置する南部町の、富士川河川敷で毎年夏に行われる、幽玄で幻想的な祭りだ。山梨日日新聞社刊行の「山梨百科事典」に「百八松明(ひゃくはったい)の名で知られる南部町だけに見られる盆の精霊送りの奇祭。8月16日の夜、富士川を挟んで東西両岸の河原に108煩悩にちなみ計108のたき物の山を半数ずつ配して一斉に点火する。炎が夜空を焦がし川面に映えて筆舌に尽くしがたい。

始まりは江戸末と伝える」とあるように、古くから盆の送り火として行われていた祭りのようだが、町によると、川でおぼれた人や漁獲した魚の霊を慰める「川施餓鬼(かわせがき)」の儀式としての意味もあるらしい。ちなみに最近は8月15日に開催されている。

午後3時、開会宣言で幕を開けた祭りは、ヒーローのぬいぐるみショーやバンド演奏、舞踊やカラオケなど盛りたくさんのイベントが続く。そして辺りに夕闇が漂い始めた午後6時半ごろになると、いよいよ「火祭り」も本番を迎える。

まず「投松明(なげたいまつ)」。河原に立てた10メートルはあると思われる竿の最上部には「蜂の巣」と呼ばれる麦わらで編んだ籠-。まさに運動会の玉入れだが、投げるのはお手玉ではなく火の着いた松明だ。夜空に火が線を描く光景は幻想的だ。続いて「燈籠流し」。僧侶の読経に送られるように108の燈籠とともに先祖の霊を川に流す儀式は荘厳な雰囲気に包まれる。

灯籠を流す参加者=いずれも山梨県・南部町南部 (2008年)

祭りが佳境に入ったころには「大松明」に点火される。町内のお寺から集められた卒塔婆(そとば)が積み上げられた大松明が天をも焦がすばかりに炎を挙げる様は幽玄な雰囲気が漂う。塔婆に宿った霊が炎とともに天に帰っていくかのように…。

そしてクライマックスは「百八松明」。富士川の河川敷に約2キロにわたって延々と並んだ煩悩と同じ数の松明が一斉に炎に包まれ、これに合わせて1万発の花火が夜空を焦がすと、まさに天地が燃える光景に出合うことができる。

全国に夏祭りは数あれど、祭りと花火を堪能しようと思ったら南部の火祭りがベストチョイス!と言っては言いすぎか?いずれにしても、全国でもあまり例をみないと思われる「火の奇祭」だけに、一度はこの雰囲気を味わう価値あり。今から予定を空けておきましょう。ひと夏の貴重な体験になること請け合いです。「火は人間の原始の血を呼び覚ます」。
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