
焼き物づくりの全工程をそのままに保存した志田焼の里博物館
コットン、コットン。陶土を挽く臼。素焼きや石膏の型が並び、へらや刷毛が無造作に広がる。ろくろを回したり、絵付けをしたりする職人がいるような錯覚にとらわれる。
志田焼の里博物館は志田陶磁器株式会社の工場跡。志田焼は1700年ごろに始まり、幕末には20以上の窯元があった。同社は大正時代に陶磁器工場を買収、昭和30年代まで火鉢や日用食器を中心にかなりの生産量を誇った。昭和59年に閉鎖されたが、陶土製造から焼成まで全工程を行っていた工場は大正、昭和の磁器生産を伝える博物館として当時様子を伝え、そっくり保存されていた。

志田焼の里博物館入り口
米どころののどかな田園風景にひときわ目立つ高さ20メートルの煉瓦製の煙突。陶土工場や絵付け作業場、釉薬工場、鋳込み成型工場など21棟もある大規模な工場だ。3つの窯のうち1つは高さ3.5メートル、奥行き12メートル、幅6.6メートルの巨大なもの。窯の中に入ると煤だらけの壁。じんわりと熱くなってくる感覚にとらわれる。
平成13年に佐賀県快適建築賞の特別賞を受賞、2009年には「近代化産業遺産」に認定された。見学のほか、ろくろや手びねり、絵付けの体験もできる。5月と11月の春まつりと秋まつりには大勢の観光客でにぎわう。窯の中でコーヒーを味わうとゆったりとした時間を楽しむことができる。焼き物ファンでなくても行ってみたい。
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