
おいしそうなあめ色…見事な照りです
春、新居の窓を開けていると、どこからか甘辛い醤油の香り…。これが何の香りかピンときますか?神戸やその周辺地域に来ると一度は必ず出あうはずです。あちこちから漂ってくるので、知らない人は「これ、何??」と思うかもしれませんが、この香りがすると春がやってくる兆し。正体は、各家庭でせっせと作られる「イカナゴの釘煮」です。この辺りでは、釘煮コンテストが行われる地域もあるほどの盛り上がりようで、どうやらイカナゴの歌もあるもよう。とてもポピュラーな佃煮です。
イカナゴは、播磨灘などで水揚げされるスズキ目の魚。釘煮には、2~3cmに育った新子を使用します。佃煮にすると、見た目が錆びた釘に似ているため「釘煮」と呼ばれるとか。甘辛い釘煮は、酒によし、飯によし。どちらもぐいぐい進みます。こんなにおいしい釘煮、てっきり全国区だと思っていたのに…。数年前、他県出身の友人に「知らない」と言われた時はショックでした。

売り場へ急いだはいいが、入荷がない日も…
私の住む地域では、釘煮の状態でも売られていますが、生のイカナゴを買ってきて家庭で釘煮にするのが一般的。生のイカナゴの需要は驚くほど高いです。スーパーや魚屋での販売はもちろん、特設売り場まで登場するほどで、売り場に並んでは早々に売り切れてしまう…もはや異常事態。体長によって食感が異なり、大きくなりすぎると釘煮に向かないため、良い時期を逃せません。解禁から1ヵ月ほどは、うちの母もイカナゴマニア?化。近所のスーパーをはしごしては、お眼鏡にかなったイカナゴを買い込んできます。3月頃になると、母のような人がたくさん現れますよ。
炊くときに、テリを出すためカンロ飴を入れるのが我が家のレシピ。山椒を入れたり、柚子を入れたりとバリエーションも豊かで、家ごとに「我が家のオリジナルレシピ」が存在するのは当たり前。ご近所さん同士で、家庭の味の交換が始まったりもしちゃいます。この時期、ご近所のおばちゃんが「これ食べ」と言いながらタッパーを渡してきたら、きっと中身はイカナゴの釘煮です。そしてきっと自家製です。炊きたてのごはんにのせていただきましょう。

イカナゴの歌が流れているとウワサのJR垂水駅前(神戸市)
そして、いかなごの釘煮の何たるかと知るにはまず、『伍魚福』『かね徳芦屋工房』の「くぎ煮」から!兵庫県に住むならもちろん、そうじゃない人もぜひ一度食べてみてください。おいしいで~。釘煮が炊けるようになれば、立派なひょうごのお母さん!ちなみに、私はまだ作れません。







