
「讃岐阿野郡川東村、奥林にて石壁あり、高教丈余にして水石間より滴出す、土人石の乳と号す、火傷に塗て治すこと神のごとし云う、最即ち地脂なるべし…」(平賀源内著、「物類品隲」より)
香川県にはうどんしかない。そう思っている方、それは大きな間違い。香川県には、四国が、いや日本が世界に誇る天才が二人もでているのです。一人は、平安時代のヒーロー・弘法大師空海。そしてもう一人は、江戸時代の悲運の発明王・平賀源内です。
この二人に共通していることは、時代もジャンルも超えたマルチな才能の持ち主であったこと。宗教家として知られる空海は、実は優れた土木工学家であり書道家であり宇宙思想家。そして博物学者・平賀源内は、発明王であり戯曲作者であり、優れた広告マンでもありました。いずれも、長い日本の歴史でもそうそう出ない大天才。日本で一番小さい香川県がこれらの大先達を輩出したことは、県民にとってとてつもない誇りなのです。
さて、ここからが本題。その平賀源内が発見、多くの人に広めたのが香川県まんのう町にある「美霞洞温泉」です。源内が宝暦12年(1762年)に江戸・湯島で開かれた二十五回薬品会にこの水を出品。著書「物類品隲」で「土人石の乳と号す、火傷に塗て治すこと神のごとし云う、最即ち地脂なるべし…(土地の人は「石の乳」と呼んでいる。やけどに塗ると、その治ることは神業のようだ)」と紹介した記録が残ります。好奇心旺盛な源内のこと、きっと自身もこの湯につかって浮き世を眺めていたことでしょう。
現在は道の駅「ことなみ」に併設された立ち寄り温泉施設でも入浴でき、硫黄臭のするにごり湯はぬるぬるとした感触で美肌効果抜群です。ジャグジーなどのある新しい施設も素敵ですが、個人的には、昭和の匂いがあふれかえる施設「みかど温泉」が好き。「こっちの方が絶対ぬるぬるしよる(している)し、濃い」と信じているお年寄りも多く、できれば両方入っていただきたいところです。いずれも山深く清々しい空気が感じられ、香川県民の憩いの場になっています。
近くには、ディープな穴場として知られる「谷川米穀店」などの有名うどん店が点在。香川県にはこのほかに、行基大師(弘法大師でなくてごめんなさい)が発見したという「塩江温泉郷」があります。ぜひ寄ってみて。
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